Rodellar

ロデジャール。これがスペイン語の発音に一番近いカタカナ書きです。
”ロ”は、オートバイのエンジンの音でも真似るつもりで
舌先を”ルルル”と震わせてから”ロ”と言って下さい。
さて4年ぶりのロデジャール、D-manの成長はいかに。

メイン・セクターのひとつ、Gran Bóveda (大丸天井) を対岸から見下ろす。
30mの長さのルートが目白押し。
 多くのクライマーがウォーミング・アップに朝一で行くセクターEl Camino へのアプローチから見たセクターVentanas del Mascún の右端と、Delfín (正面のアーチ)。左の天井に Pata negra (8c) がある。その裏側に D-man も登った Made in Mascún がある。

Ventanas del Mascún の左端
セクターEl Camino:5.10代から5.12代前半までのルートがそろっている。取り付きやすいが、意外と癖のあるルート多し。
セクターPince sans rire(奥の影の部分):『笑わずに摘め』という名が語るように、長〜いコルネのルートが多い。
手前岩峰は Picon d'o cuervo。
Recuerdos de mi abuelo 6b(5.10c)
 セクター:BISAGRA
 ”背びれ”を使ったクライミングは日本ではなかなか味わえません。思わず両手で握り締めて馬鹿力だけで登ってしまいそうですが、数メートルで力が尽きるのは目に見えてます。そんな時、ニー・ロック(2本の”背びれ”の間に膝下をはめ込む)が有効。また、”背びれ”の付け根に縦ホールドを探しましょう。先ずは、さほど難しくないルートで練習するのも一案です。

他のショット
Tú eres la primera 7a(5.11c)
 セクター:BISAGRA
 Rodellarでも、傾斜のない(垂直)、足に乗り込んで行くルートもあります。ガバ・ホールドの連続するどっ被りのルートもよし、コルネ(背びれ)をひたすら辿って行くルートもよし、天井を逆さになって這うルートもよし。いろいろなタイプのルートを登りましょう。それぞれにクライミングの面白さが隠されています。
Brumisatorre 7c+/8a (5.13a/b)
 セクター:CAFÉ SOLO
 D-man、、怨念のルート。2回ほどのトライでほぼムーブは組み立てられたけど、左の写真でフレークを辛うじて捉えた右手を一度左足を引いてからフレーク上部のかかりのいい部分に飛ばすムーブがなかなか繋がらず。冷却期間を挟んで14回目でやっと成功。ご苦労様。
ちなみにこの部分、リーチが普通の人なら特に問題なし。苦労は若い(チビの)時にせよ!

他のショット(核心、右手を飛ばす前に左足を引いた瞬間)
他のショット(ルート上部)
Porque 7a+ (5.11d)
 セクター:BOULDER DE JON
 終了点は右上。ボルトは足下。さて、そのまま斜めに直接行くか、いったん直上して左回りに近づくか、それとも右下から回り込むか。
一番気持ちの悪くないラインを読めば、ランナウトも気にはなりません。

他のショット
Crimen y castigo 7b (5.12a)
 セクター:BOULDER DE JON
 セクターEGOCENTRISMOが
開いた本の左ページだとすると右ページにあるのが、このセクター。ウォーミング・アップにほど良いセクターEL CAMINOでめぼしいルートを登りつくしたので、朝一に何回か行く。でも朝一、充分ほぐれていない体で取り付くのには少々凝縮した内容のルートが多いです。これもそのうちの1本。耐えに耐えて終了点直前に、また…。

他のショット
Pequeño Pablo 7a+/7b (5.11d/12a)
 セクター:EGOCENTRISMO
 村から一番近いセクター。村を出て最初にある谷底に降りる道の途中を左に入って岩棚をトラバースすれば、アッと言う間に到着。
 このセクター、どのルートもだいたい最初の半分が核心。取り付きからの数メートルがボルダー・チック。ルート選びにはご用心。
 写真のルートは「11時の方角」にあるホールドさえ見落とさなければ、オン・サイトしやすいはず。

他のショット(ルート上部)
De bien nacidos 7a+ (5.11d)
 セクター:EGOCENTRISMO
 右側の壁がかぶった、全体的に左上する凹角を行くルート。バランスの悪さを耐えていく、オーソドックスな登りを強いられる。こんなルートもヌンチャクをかけながらオン・サイトできるようになったのには感心、感心。でも文句も多いけど。

他のショット(ルート上部)
Tierra y libertad 7b(5.12a)
 セクター:GRAN BÓVEDA
 威圧的なルートの多いこのセクターで一番左端にある取り付きやすいルート。コルネがあると、思わずコルネだけに気を取られてしまいますが、実は壁の中にもエッジやポケットがあります。落ち着いて観察しましょう。上だけ見ていてはダメです。左右も良く見て。

他のショット(セクターBIKINI と L'ECOLE-左上-を背景に)
L'any que ve també 7c (5.12c/d)
 セクター:GRAN BÓVEDA
 前半の、特に上部に出るあたりのコルネで力を使ってしまうと、当然のごとくその後にツケが回ってきます。下からも見える白っぽいフレーク状の岩の上に乗り込む時も注意。終了点直下にもワン・ムーブあり。リーチのないD-man は、「またかよ〜」と嘆きながら、そこで行きつ戻りつ。最後は意を決し、薄氷を踏む思いで、終了点へ。最高のオン・サイト!!

他のショット
Les cadres regeneren 8a (5.13b)
 セクター:GRAN BÓVEDA
 今夏の目標8a、予定ルートが尽くリーチ不足で泣かされていた時、普段あまり自分からこれを登ると言い出さないD-manが『これ!』と宣言したルート。9回目でキッチリ、レッド・ポイント。上部最後の最後の核心は誰も使っていないホールド使用。この工夫ができなかったら、やはりリーチに泣いていたでしょう。

他のショット(下部は特大のコルネの間)
他のショット(ルート上部)
他のショット(ルート上部)
El sepes 7c+/8a (5.13a/b)
 セクター:GRAN BÓVEDA
 このルートはレッド・ポイントしていません。一度なんとかヒイヒイ言って終了点まで抜けただけ。上部でランナウトした状態で左に回りこむように登るパート(もちろん身長があればダイレクトに行ける)で気が萎えてしまったようです。まあ今度来たときには、もっと精神的に強くなっているでしょう。

他のショット(ルート全景)
Conejo caliente 7a+(5.11d)
 セクター:EL CAMINO
 それだけ人気エリアだということなんだろうけど、意外とツルツルした使いづらいホールドの多い EL CAMINO。でも、このルートはカチッとしたホールドも多くて登りやすし。ただ、最初のパートにはムーブの読みが必要。
 いずれにしても、この EL CAMINO、どのルートも概して最初の部分が核心です。

他のショット
Clyde 6b(5.10c)
 セクター:EL CAMINO
 EL CAMINO には下半分で細かなホールドを使ったりスラブっぽいルートが多く、大体その辺りが核心となる。上部はガバが続くが、よくホールドを選ぶこと。見た目より傾斜があってグレードのわりには不思議と力が吸われてしまうルートも多い。
 写真のクライマーは「ぼよぼよ」。このくらいならまだまだ余裕で登れます。
Aquest any sí 7b+(5.12b)
 セクター:AQUEST ANY SÍ
 アンダーあり、縦ホールドあり、コルネあり、ピンチあり、なんでもありの多彩なルート。シェイク、レストのできるところでしっかり呼吸を整えて、次ぎのパートのホールドをしっかり観察すべし。D-man、一撃。
 その昔「ぼよぼよ」と「よぼよぼ」が初めてロデジャールに来た時、このセクターにはこれとその右のルート2本のみ。でも、コピーした雑誌のトポにものっていなかったし、だれも登ってもいなかったので見上げただけ。

他のショット
Maldita Codicia 7c+(5.13a)
 セクター:MALDITA CODICIA
 今から16年前、1989年にMASCÚN渓谷初の8aとして登場。その後、グレード・ダウン。「ぼよぼよ」と「よぼよぼ」が初めてロデジャールに行ったのは14年前。その時からあった歴史的ルート。川の中州からスタート。終了点からローワーダウンすると反対側の岸。

他のショット
Juan y Fran se nos van 7a+(5.11d)
 セクター:VENTANAS DEL MASCÚN
 この夏、トーマス・ムラツェクがオンサイトした Pata negra(8c) は隣の隣。途中、背中をくっつけるとノーハンドでレストできる大きな”背びれ”があったり、懸垂できそうな角柱状の突き出たホールドがあったりする、かぶっていても楽しいルート。このエリアのウォーム・アップ用ルート。

他のショット
Made in Mascún 7c+(5.13a)
 セクター:VENTANAS DEL MASCÚN
 最初の10mは上に行きますが、残りの20mは天井の中をガバをつないでひたすらトラバースして行くルート。取り付きは谷底を真下に見るテラス。もちろん登っている最中も絶えず背に虚空を感じます。D‐man、初日はそのスケールにビビって見ただけで敗退。でもツアー最終日、きちっと落としました。

他のショット

真中の写真:今回借りたアパート。Rodellar村のひとつ手前、Las almunias de Rodellar村の道脇。ちなみに”almunia” は
      アラブ語で”野菜畑”。そう言えば、下のBierge村からRodellar村までで、畑のできる平な土地はこの村の周辺
      にしかないか。
左の写真 :ぼよぼよ 『なんで、わたしがこんなことせんとあかんの。自分の宿題ぐらい自分でしィ〜』
      D-man 『・・・・・』(寝たふり)
右の写真 :ぼよぼよ 『はよ、宿題せんと、遊びに行かへんよ〜』
      D-man 『う〜、今日は自分でするしかないか・・・。適当に、やっとこ。』
よく車を止めたRodellar村の広場。
前回(2001年)の時は、まだ石畳に
なっていませんでした。
村の奥に通じる石畳の道と教会の塔。
写真右手前から右に下るように
アプローチが始まります。
Gran Bóvedaの取り付きから見た村。
普段の夏なら下の川で泳げるけど、
今年はまったく水がなし。
Rodellar村の位置する Mascún渓谷一帯は、Sierra de Guara(グァラ山脈)の一部で、この付近には先史時代の洞窟壁画が多い。なんと正真正銘のクライミングのセクターとなっている La Palomera には、檻で囲まれたところ(左写真)があり、先史時代の人の描いた動物の絵が気軽に(?)見られます。決してクライマーの落書きではありません。
右の写真はMascún渓谷の東方、Vero渓谷にあるMallataという洞窟の壁画。西暦紀元前5000年から1500年の作品だそうだけど、そんな時代の絵がよく残ってますな。
Rodellar村のあるHuesca(ウエスカ)県は、Aragón地方を構成する3県のひとつ。そのひとつのZaragoza(サラゴサ)県Zaragoza市(左写真)は2008年の万博開催地。 Don Quijote(ドン・キホーテ)の時代は粉引きの風車小屋。現代は風力発電のための風車群が平原に忽然と現れる。Zaragoza市から近代絵画史の巨匠Goya(ゴヤ)の生家(右写真)がある村に向かう途中で。