クライミング・ギアではないクライミング・ギア
 都会に住んでいて近くのクライミング・ジムに電車で行くとき以外、クライマーにとって車はクライミング・ギヤのひとつだと言っても過言ではないはず。
 我家では、D-manが生まれた当時は、TOYOTAのカリブ(ステーション・ワゴン、もちろん4WD)に乗っていた。特に大きな車ではなかったので、多少の悪路も気にならず、狭い林道などもどんどん入って行ける代物だった。それに,、もちろん室内高は普通の乗用車のそれしかなかったけれど、後部座席を倒せば大人2人が並んで寝ることもできた。鳳来の三河川合駅前(その昔ながらの”便所”の大便器の色合い・模様が、スペインのグラナダ焼きみたいだった)でよく寝ていたのが、今は懐かしい。
 で、D-manが生まれてからも彼が手提げの編みカゴの中で寝ているだけの間は、カリブで充分だった。カゴの中のD-manは、置物状態だったから。でも、時と処をかまわず這い回るようになってからは、さすがにカリブでは車中泊もできなくなり、今度はTOYOTAのハイエースのロング・バンを購入。もちろん内部は”お座敷”タイプに改造。運転&助手席後ろには、半永久的に折り畳まれたセカンド・シートを覆うように調理テーブル兼引出式流し台を設置。後ほど紹介するこの流し台のシステム、わが生涯の成功傑作のひとつと自負するもの(ん?D-manも最高傑作のひとつですと。そうなりゃ、いいですけど)。車中泊の際、煮炊きと食器洗いは”お座敷”の端っこにベンチにでも腰をかけるように座って。食事は”お座敷”にひろげた卓袱台でしてました。このハイエース、10年で24万59565kmキロ走って無事引退。最後にはラジエーターに穴が開いて、もう充分働いたっていう状態になってたけど、中古車センターに買い取ってもらいました。もちろん買ってくれる店を探すのに、ちょっと苦労しましたが。それに査定料は0円。でも、お金払って廃車にしてもらうよりは良しと考えた我家はケチ?おまけに買ってもらっておいて、「こんな車、いったい買ってどうするんですか?」と質問。「いや〜、海外なら、まだ充分なんですよ」の答えに、長年乗り回した愛車の第二の人生に思いを馳せました。大陸に渡り大平原を疾走する紺色のハイエース、ちょっぴりうらやましかったです。でも、某紛争地で過激な人たちの足になっていて弾痕が無数の体になってたらどうしよう、とも今は考えますが、それも彼の一生。いずれにしても、日本であっさり鉄くずにされるより、”くるま”として在り続けてたほうがよかったはず。
 さて、先代の思い出はこのくらいで、今からは現役の話に移りましょう。TOYOTAのハイエースの次に選んだのはNISSANのキャラバン。ハイ・ルーフでスーパー・ロングです。ハイ・ルーフにしたのは、ノーマル・ルーフではD-manの頭が天井についてしまうようになったから。もちろん大人は最初から立つようなことはできませんが、ごそごそするのが職業の子供にとっていちいち天井に頭をぶつけるのはうっとうしいだろうと考えて。結果的にハイ・ルーフだと背のさほど高くない親も立っていろいろできるので、車中泊が楽になりました。また、スーパー・ロングにした理由は、セカンド・シートを畳まずに、その後ろにベットを設置できるだけの充分な車長があったから。当然、ハイ・ルーフだと大体の屋内駐車場には入れないし、スーパー・ロングにすると回転半径が大きくなって取り回しが少々やっかいになるというデメリットもありますが、居住性から見て、ベストの選択だったというのが家族全員の意見です。おっと、もうひとつ。TOYOTAからNISSANにしたのは、同じスーパー・ロングでも、NISSANのそれのほうが回転半径が短かったから。スーパー・ロングとはいえ先代の乗りこなしたハイエース・ロングと同じ回転半径だったので、取り回しのことを考えてNISSANを選択。車体(板金)が弱いという話も聞いたことがありましたが...。
文責:管理人”よぼよぼ”

初代カリブ:この車で小川山にもよく行ったものです。テントを張った時もあれば、荷物室にマットをひいて寝たこともありました。面倒だったのは、日曜日の夜に荷物を毎回降ろさなければならなかったこと。
⇒右の写真の2人は誰?

二代目ハイエース:1995年、D-man3才の夏の北海道ツアーの写真。この日は富良野の河原でシャケを焼いたのでコンロは外。車内に調理テーブルと、その下の給水システム(タンクと空気ポンプ)が見える。 ご飯は”お座敷”の上に卓袱台をひろげて。和風キャンピングカー。”お座敷”の下は全面物入れ。 北海道は自然が豊か=虫も多いと予想して、手作りの蚊帳をサイド・ドアとリア・ハッチのところに設置。確かに役に立ったけど、極小のヌカカだけには手を焼く。

 ではそろそろ本題に入って、次ページから、我家の唯一の”持ち家、”キャラバン号を紹介します。これからクライミングの足となる車をアレンジしようと考えている人のために参考となれば幸いです。